スティーブ・グロスマンを初めて聴いたのは、ドン・アライアスのバンド「Stone Alliance」で、彼のテナーサックスの音はかなり衝撃だった。さっそくレコードを浅草のFというジャズ喫茶に持っていったのだが、Fのマスターはちょっと聴いて「あ、これはコルトレーンだね」と言ってあまりウケなかったのを覚えている。
社会人になってから、スティーブ・グロスマンが来日したので新宿ピットインに行ったら、これが酷かった。薬が切れていてまったく吹けない。客席に向かって「薬をくれ」と懇願する。楽器すら構えることが出来ない状況で、ピアノが高瀬アキ、ベースが井野信義、ドラムが日野元彦だったのだが、前半は1曲も吹かないまま終わった。
休憩時間に日野元彦が彼に酒を大量に飲ませて、さあ後半1曲目が「インプレッションズ」を吹いたのだが、これは凄かった。でも1曲でアルコールが切れてしまい、あとは吹けない。
先々週の日経土曜日夕刊ディスク・レビューでスティーブ・グロスマンの新譜が紹介されていて、びっくりした。YouTubeで25年ぶりに聴くスティーブ・グロスマン、なかなかいいじゃないですか。